児童発達支援管理責任者とは?児発管の仕事内容や役割・なるための資格要件を解説

児童発達支援管理責任者(児発管)は、障害のある子どもの支援において中心的な役割を担う専門職です。

個別支援計画の作成や関係機関との連携を通じて、一人ひとりに合わせた質の高い療育を提供します。

この記事では、児発管の具体的な仕事内容や必要な資格要件、研修プロセス、給料、そして将来性まで詳しく解説します。

最後まで読めば、児発管があなたにとって目指すべきキャリアパスかどうかが明確になります。

児発管って聞いたことあるけど、具体的にどんな仕事をするの?保育士の私でもなれるのかな?

児発管は子どもの成長を支える、とてもやりがいのある専門職で、保育士の経験を活かして目指せますよ

この記事でわかること
  • 児童発達支援管理責任者(児発管)の具体的な役割と仕事内容
  • 児発管になるための資格要件と研修の詳細な流れ
  • 保育士や児童指導員との役割の違い
  • 児発管の給料・待遇や将来のキャリアパス
目次

児童発達支援管理責任者(児発管)とは 子どもの成長を支える専門職

障害のある子どもの支援において、個別支援計画の作成と進行管理を中心的に担う専門職が児童発達支援管理責任者(児発管)です。

子ども一人ひとりの特性や発達段階に合わせた、質の高い支援を提供するために欠かせない存在と言えます。

ここでは、児童発達支援管理責任者の正式名称と「児発管」という呼び名個別支援計画作成を中心とした必要性質の高い療育提供における重要な役割、そして多くの児童福祉事業所で求められる存在であることについて詳しく解説します。

児発管は、子どもの可能性を最大限に引き出し、その子らしい豊かな生活をサポートするための重要な役割を担っており、保育士や児童指導員など、子どもに関わる仕事からのキャリアアップとしても注目されています。

児童発達支援管理責任者の正式名称と「児発管」の呼び名

この専門職の正式名称は「児童発達支援管理責任者(じどうはったつしえんかんりせきにんしゃ)」です。

しかし、この名称は少し長いですね。

そのため、福祉や保育の現場では「児発管(じはつかん)」という略称で呼ばれることが一般的です。

医療や福祉の分野では、このように役職名や資格名を略して呼ぶことがよくあります。

「児童発達支援管理責任者」って、すごく長い名前ですね…

そうなんです。「児発管」の方が、現場ではよく使われていて、スムーズにコミュニケーションが取れますよ。

まずは、正式名称と「児発管」という呼び名の両方があることを覚えておきましょう。

個別支援計画作成を中心とした児発管の必要性

「個別支援計画」は、障害のある子ども一人ひとりの特性や発達段階、置かれている環境、保護者の意向などを踏まえて作成される、オーダーメイドの支援計画書です。

児発管はこの計画作成プロセスにおいて中心的な役割を担います。

具体的には、子どもの状況を把握するためのアセスメント(情報収集・評価)、計画原案の作成、関係者を集めての会議(サービス担当者会議)、計画の決定、そして計画が適切に実行されているかを確認するモニタリングまで、一連の流れを責任を持って管理します。

個別支援計画があることで、関わるスタッフ全員が共通の目標に向かって、一貫性のある支援を提供できるようになります。

児発管は、そのための羅針盤を作る重要な役割を果たしているのです。

質の高い療育提供における児発管の重要な役割

質の高い療育とは、単に決められたプログラムを行うのではなく、子どもの発達段階や興味関心、課題に合わせて個別最適化された支援を提供することを意味します。

児発管は、個別支援計画作成を通じてこの実現に貢献します。

児発管の役割は計画作成にとどまらず、保護者からの相談に応じたり、保育所や学校、医療機関といった関係機関と連携したりすることで、子どもを取り巻く環境全体を調整し、支援の質を高めていきます。

「個別支援計画作成」(38.4%)や「個別支援計画原案の作成」(34.2%)は児発管が単独で行うことも多いですが、「個別支援会議の開催」(86.8%)や「利用者のモニタリング」(75.4%)はチームで行われることが多いという調査結果もあります。

計画を作るだけじゃなくて、色々な人と連携するんですね。

はい、児発管は支援チームのまとめ役であり、関係機関との橋渡し役でもあるんです。

児発管の専門的な知識やスキル、そしてコミュニケーション能力が、子どもたちへのより良い療育提供につながります。

参考:国立のぞみの園「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の業務実態及び制度改定後の養成研修の実態に関する調査研究」

多くの児童福祉事業所で求められる児発管という存在

児童発達支援センター、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援といった障害児通所支援事業所では、サービスを提供するにあたって児発管を1名以上配置することが法律で義務付けられています(配置基準)。

これは、質の高い支援を確保するための重要なルールとなります。

児発管の専門性は、事業所の報酬体系にも反映されています。

例えば、専門的な支援を行うことで算定できる処遇改善加算や、手厚い支援が必要な子どもへの個別サポート加算(Ⅰ)など、児発管の配置や関与が加算の要件となる場合があります。

しかし、その重要性にも関わらず、多くの事業所で児発管の確保が困難な状況が指摘されています。

調査によると、約半数(48.0%)の事業所が確保に困難を感じており、その理由として「実務経験要件を満たす者が不足」(51.2%)、「サービス管理責任者等を任せられる人材が不足」(50.5%)などが挙げられています。

このように、児発管は児童福祉の現場において不可欠な存在であり、その需要は今後も高まっていくと予想されます。

参考:国立のぞみの園「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の業務実態及び制度改定後の養成研修の実態に関する調査研究」

児発管の具体的な仕事内容とその役割

児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事は多岐にわたりますが、その中心となるのは個別支援計画の作成と進行管理です。

みなさんの支援が、子どもたちの成長と発達に直結するため、非常に重要な役割を担います。

具体的には、個別支援計画の作成からモニタリングまでの一連のプロセス、保護者との面談や相談援助保育所や学校など関係機関との連携現場スタッフへの助言や指導といった業務があり、実際に働く児発管の声からはその「やりがい」も伝わってきます。

児発管は、質の高い療育を提供するための司令塔として、子ども一人ひとりに最適な支援をコーディネートする専門職なのです。

個別支援計画の作成からモニタリングまでのプロセス

個別支援計画とは、支援を必要とする子ども一人ひとりの特性や発達段階、目標に合わせて作成されるオーダーメイドの支援計画書のことです。

これは、児発管の業務の中核をなします。

計画作成は、まず子どもの状況や保護者の意向を把握する「アセスメント」から始まります。

次に、アセスメント結果に基づき「個別支援計画(原案)」を作成し、「サービス担当者会議」で保護者や関係者と内容を検討します。

計画内容について保護者の同意を得て交付し、ようやく支援が開始されます。

支援開始後も、計画通りに進んでいるか、効果が出ているかを定期的に評価する「モニタリング」が欠かせません。

法令では少なくとも6ヶ月に1回の見直しが求められていますが、子どもの状況に応じてより頻繁に行うこともあります。

計画作成って具体的にどんなことをするの?

子どもの状況把握から始まり、目標設定、支援内容の決定、そして定期的な見直しまで、一貫して関わります

個別支援計画の作成と継続的なモニタリングは、子どもの成長を適切にサポートするための羅針盤となる、児発管の最も重要な仕事内容の一つといえます。

保護者との面談や相談援助・アセスメントの重要点

アセスメントとは、個別支援計画を作成するために、子どもの発達状況、興味・関心、得意なこと・苦手なこと、生活環境、そして保護者のニーズや悩みなどを多角的に情報収集し、分析・評価するプロセスです。

質の高い支援を提供するための基礎となります。

保護者との面談は、アセスメントの重要な一部であり、信頼関係を築くための第一歩です。

「この人になら安心して相談できる」と感じてもらうことが大切です。

面談では、子どもの日々の様子や困りごと、保護者が支援に期待することなどを丁寧に聞き取ります。

場合によっては、家庭での様子をより深く理解するために、最低1回は家庭訪問を行うこともあります。

丁寧なアセスメントを通じて得られた情報は、その後の個別支援計画作成や日々の支援に活かされます。

保護者との良好な関係を築き、二人三脚で子どもの成長を支えていくことが求められます。

保育所・幼稚園・学校・医療機関などとの関係機関連携

関係機関連携とは、子どもの支援に関わる保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校、地域の相談支援事業所、医療機関といった様々な組織と情報を共有し、協力して支援を進めていくことを指します。

児発管は、その中心的な役割を担います。

例えば、保育所や学校の先生と子どもの園・学校での様子について情報交換を行ったり、サービス担当者会議に関係者を招集したりします。

国立のぞみの園が行った調査(令和4年度)によると、計画相談支援事業所との連携は9割以上の事業所で「十分に連携」「おおむね連携」が取れていると回答していますが、医療機関など、連携が難しいと感じている機関もあるようです。

保育園との連携って、どんなことをするの?

園での子どもの様子を共有してもらったり、合同で支援会議を開いたりします

子どもが通う様々な場で一貫した支援を提供するためには、児発管がハブとなり、関係機関と密に情報を共有し、それぞれの専門性を活かしたチーム支援体制を築くことが重要になります。

保育士や児童指導員などの現場スタッフへの助言や指導・OJTの実施

児発管は、個別支援計画を作成するだけでなく、計画に基づいた支援が現場で適切に実施されるよう、保育士や児童指導員などのスタッフに対して助言や指導を行う役割も担います。

その代表的な方法がOJT(On-the-Job Training)です。

これは、実際の業務を通じて必要な知識や技術を習得してもらう教育訓練を意味します。

具体的には、個別支援計画の内容や意図をスタッフに分かりやすく伝え、日々の声かけや関わり方について具体的なアドバイスをします。

また、支援技術向上のための勉強会を企画したり、外部研修への参加を促したりすることもあります。

国立のぞみの園の調査(令和4年度)によれば、多くの事業所でOJTなどの人材育成が行われていますが、その内容や質にはばらつきがあり、効果的な実施が課題となっています。

後輩への指導も児発管の仕事なの?

はい、チーム全体の支援の質を高めるために、知識や技術を伝えることも大切な役割です

児発管自身の専門性を高めることはもちろん、チーム全体のスキルアップを図り、事業所全体の療育の質を向上させることが期待されています。

現場で働く児発管の声 やりがいの具体例

児発管の仕事は責任が重く、多忙を極めることもありますが、それ以上に大きな「やりがい」を感じられる場面がたくさんあります。

多くの児発管が挙げるのは、やはり「子どもの成長を間近で感じられること」です。

昨日までできなかったことが今日できるようになった瞬間や、子どもが笑顔を見せてくれた時、支援が実を結んだと感じ、大きな喜びを得られます。

また、「保護者の方から感謝の言葉をいただいた時」も、この仕事をしていてよかったと思える瞬間です。

信頼関係を築き、共に悩み、喜びを分かち合えることに「やりがい」を感じる人は多いです。

さらに、「チームで連携して目標を達成できた時」にも、大きな達成感を得られます。

大変なこともあるけど、やりがいも大きそう…!

子どもの成長を間近で支え、ご家族と共に喜び合える瞬間は、何物にも代えがたいですよ

もちろん、書類作成の多さや関係機関との調整の難しさなど、大変な側面もあります。

しかし、それを上回る「やりがい」があるからこそ、多くの児発管が日々、子どもたちと向き合っているのです。

児発管になるための資格要件と研修プロセス

児童発達支援管理責任者(児発管)として活躍するためには、定められた実務経験と段階的な研修の修了が不可欠です。

ご自身のキャリアパスが要件を満たしているかを確認し、計画的にステップを進める必要があります。

ここでは、児発管になるための具体的なルートとして実務経験の詳細、保有資格による違いを解説します。

さらに、受講が必要な相談支援従事者初任者研修基礎研修OJT(実務経験)実践研修、そして更新研修の内容と、各都道府県での研修情報の確認方法まで、順を追って説明していきます。

これらの要件とプロセスを理解することで、児発管への道筋が明確になります。

児発管になるためのルートは?実務経験の詳細を解説

児発管になるための実務経験とは、国が定める特定の施設や事業において、障害のある方や子どもたちへの相談支援業務または直接支援業務に従事した経験を指します。

具体的には、障害児入所施設、児童発達支援センター、障害福祉サービス事業所、相談支援事業所、学校教育法に規定する学校などが該当します。

原則として、これらの業務経験が通算して5年以上必要となります。

ただし、後述する特定の資格を持っている場合は、必要な実務経験年数が短縮されます。

これまでの職務経歴が、児発管の要件として認められる実務経験に該当するかどうかを確認することが、児発管を目指す上での最初のステップです。

実務経験って、具体的にどんな場所での経験が必要なの?

障害児支援施設や児童発達支援センター、放課後等デイサービスなどの施設での相談・直接支援業務の経験が該当しますよ

ご自身の経験が要件に合致するかどうか、勤務先の事業所や都道府県の担当部署に確認することをおすすめします。

児発管になるためのルート 保有資格と必要な実務経験

児発管になるための実務経験要件は、保有している国家資格等によって必要な年数が異なります。

特定の資格を持っている場合、実務経験の期間が原則5年から3年以上に短縮されることがあります。

対象となる主な資格は以下の通りです。

※上記の他にも対象となる資格があります。

また、実務経験として認められる業務内容や施設種別には詳細な規定があります。

保育士の資格を持っていると、実務経験は短くなる?

はい、保育士資格など特定の国家資格があれば実務経験が3年以上に短縮されます

ご自身の保有資格と職務経歴を確認し、どのルートで児発管を目指せるのかを把握することが重要です。

最初に受講する相談支援従事者初任者研修(講義部分)

児発管になるための研修プロセスの第一歩として、多くの場合「相談支援従事者初任者研修」の講義部分を受講する必要があります。

この研修は、障害のある方の相談支援に携わる上で基本となる知識や技術を学ぶことを目的としています。

研修では、相談支援の理念や制度、アセスメントの方法、サービス等利用計画の作成プロセスといった内容を学びます。

研修時間は都道府県によって異なりますが、例えば2日間程度の講義形式で行われることが多いです。

ただし、既に相談支援専門員としての実務経験がある場合や、特定の研修を修了している場合は、この研修の一部または全部が免除されることもあります。

一番最初に受ける研修は何だろう?

多くの場合、まずは相談支援従事者初任者研修の講義部分から始まります

この研修を修了することが、次のステップである「基礎研修」の受講要件の一つとなります。

児発管への道のりのスタートとなる重要な研修といえます。

児発管として必須の基礎研修の内容と期間

基礎研修は、児童発達支援管理責任者として業務を行うために必ず修了しなければならない研修です。

この研修は、児発管に求められる専門的な知識や技術の土台を築くことを目的としています。

研修内容は、個別支援計画の作成に関する演習を中心として、アセスメントやモニタリングの手法、関係機関との連携、保護者支援、児童福祉に関する制度など多岐にわたります。

サービス管理責任者と共通の部分もありますが、児童分野に特化した内容も含まれます。

研修期間は都道府県によって異なりますが、通常数日間にわたって実施されます。

基礎研修で学ぶ主な内容例
  • サービス提供の基本的な視点
  • 個別支援計画作成のプロセスと技術
  • アセスメントの実施方法
  • モニタリングと評価のポイント
  • 多職種・多機関との連携方法
  • チームマネジメントの基礎知識
  • 児童福祉関連の法制度・施策
  • 障害特性や発達に関する知識

この基礎研修を修了することで、児発管としての実務(OJT)を開始するための要件を満たします。

基礎研修修了後のOJT 実務を通じた学び

基礎研修を修了しただけでは、すぐに児発管として一人で業務を行うことはできません。

基礎研修修了後には、OJT(On-the-Job Training)と呼ばれる実務経験を積む期間が必要です。

これは、実際の職場で先輩の児発管などの指導を受けながら、個別支援計画の作成を中心とした一連の業務を実践的に学ぶ期間を指します。

OJTの期間は、基礎研修修了後原則として2年間です。

この期間中に、利用者(子どもとその保護者)のアセスメントから個別支援計画の原案作成、サービス担当者会議への参加、モニタリングといった実務を経験します。

研修で学んだ知識・技術を、実際の現場でどのように活かすかを具体的に学ぶ重要なプロセスです。

研修が終わったら、すぐに児発管として働けるの?

基礎研修の後は、原則2年間のOJTで個別支援計画作成などの実務経験を積みます

ただし、OJTの具体的な進め方や内容は事業所に委ねられている側面もあり、効果的な実施が課題として指摘されています。

参考:国立のぞみの園「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の業務実態及び制度改定後の養成研修の実態に関する調査研究」

実務経験後に受講する実践研修の内容

基礎研修を修了し、2年以上のOJT(実務経験)を経た後に受講するのが実践研修です。

実践研修は、児発管としての専門性をさらに深化させ、より質の高い支援を提供するための応用力を養うことを目的としています。

実践研修では、基礎研修で学んだ内容を土台に、より複雑なケースへの対応、多職種連携におけるリーダーシップ、地域資源の活用、人材育成(OJT指導)、事業所全体のサービス向上に向けた取り組みなどを学びます。

事例検討やグループワークを通じて、他の事業所の児発管との意見交換を行う機会も多く設けられています。

研修期間は都道府県によって異なりますが、基礎研修と同程度の日数で行われることが一般的です。

実践研修で高める主なスキル例
  • 困難事例への対応力
  • 多職種連携の推進力
  • 地域資源の活用・開発能力
  • 後輩指導・人材育成スキル
  • サービス評価と改善能力
  • 権利擁護と意思決定支援の推進

実践研修を修了することで、正式に児童発達支援管理責任者として認められます。

児発管は5年ごとの資格更新研修が必要!

児童発達支援管理責任者の資格は、一度取得すれば永続するものではありません。

資格を維持するためには、5年ごとに更新研修を受講することが義務付けられています。

これは、法改正や新しい支援手法など、常に変化する情報を学び続け、児発管としての質の維持・向上を図るためです。

更新研修では、最新の制度動向、障害児支援に関する新たな知見、効果的な実践事例などを学びます。

また、自身の5年間の実践を振り返り、課題を整理し、今後の目標を設定する機会ともなります。

研修期間は都道府県によって異なりますが、通常1日から2日間程度で実施されます。

資格を取ったら、それで終わりじゃないの?

児発管は5年ごとに更新研修を受けて、知識やスキルを新しくする必要があります

この更新研修を受けなかった場合、児発管としての資格要件を満たさなくなり、事業所での配置ができなくなる可能性があります。

継続的な学びを通じて専門性を維持することが、児発管には求められます。

各都道府県が実施する研修の確認方法と実施機関リスト

これまで説明してきた児発管になるための各研修(相談支援従事者初任者研修、基礎研修、実践研修、更新研修)は、国が定めるカリキュラムに基づいて、各都道府県が主体となって実施しています。

そのため、具体的な研修日程、会場、申し込み方法、受講料などは、お住まいの、または勤務地のある都道府県によって異なります。

研修情報は、主に以下の窓口やウェブサイトで確認できます。

多くの都道府県では、研修実施を民間の研修事業者等に委託しています。

参考:国立のぞみの園「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の業務実態及び制度改定後の養成研修の実態に関する調査研究」

人気の研修はすぐに定員に達することもあるため、早めに情報を収集し、計画的に申し込みを行うことが重要です。

ご自身の該当する都道府県の情報をこまめにチェックしましょう。

混同しやすい?保育士や児童指導員、サービス管理責任者との違い

児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事は、子どもに関わる他の専門職と似ている部分があるため、役割の違いを理解しておくことが非常に重要です。

特に、保育士児童指導員、そして同じく個別支援計画作成を担うサービス管理責任者(サビ管との違いを明確にすることで、児発管独自の専門性が見えてきます。

それぞれの職種との具体的な違いと、全体像を把握するための比較表で詳しく解説しましょう。

保育士との役割の違いは?対象となる子どもと主な業務に差異がある

保育士は、児童福祉法に基づく国家資格を持ち、主に保育所や認定こども園などで0歳から小学校就学前の子どもを対象に保育を行う専門職です。

日常生活の世話や基本的な生活習慣の指導、遊びを通じた心身の発達サポートが主な業務になります。

保育士の私でも児発管を目指せるのでしょうか?

はい、保育士としての実務経験は児発管の要件の一つとして認められています

児発管は障害のある子どもに特化し、個別支援計画を作成・管理する点が保育士との大きな違いです。

保育士も障害のある子どもに関わることはありますが、児発管のように計画作成の中心を担うことはありません。

児童指導員との役割の違いは?資格要件と業務範囲を解説

児童指導員は、児童養護施設や障害児入所施設、放課後等デイサービスなどで、子どもたちの生活指導や学習支援、遊びの提供など、保護者に代わる養育を担う職種です。

児童指導員になるには、特定の学部の卒業や実務経験、関連資格の保有など、任用資格が必要です。

児発管は個別支援計画の作成と管理が主業務であるのに対し、児童指導員はより直接的な生活支援や発達支援を行う点が異なります。

児発管は、児童指導員を含む現場スタッフに対して、個別支援計画に基づいた助言や指導を行う立場にあります。

サービス管理責任者(サビ管)との関係性は?児発管は児童福祉分野の専門職

サービス管理責任者(サビ管)は、障害者総合支援法に基づき、主に成人の障害者を対象としたサービス(就労移行支援、共同生活援助など)において、個別支援計画の作成やサービス提供プロセスの管理、関係機関との連携などを担う専門職です。

児発管とサビ管は、計画作成プロセスなど業務内容に共通点が多く、児発管は「児童分野のサービス管理責任者」と位置づけられます。

必要な実務経験や研修制度も類似していますが、対象者が児童か成人かで担当分野が分かれます。

事業所によっては、児発管とサビ管の兼務が認められる場合もあります。

児発管・保育士・児童指導員・サビ管で主な対象と役割の違いを比較!

児発管、保育士、児童指導員、サービス管理責任者(サビ管)の主な違いをまとめます。

それぞれの専門性を理解するために、以下の比較表を確認しましょう。

スクロールできます

これらの職種は連携しながら、子どもや利用者の支援を行っています。

児発管は、その中でも個別支援計画を通じて、多職種をつなぐハブとしての役割を担う、児童福祉分野に不可欠な専門職なのです。

児発管の待遇・やりがい・キャリアの展望

児童発達支援管理責任者(児発管)を目指す上で、給料や働きがい、将来のキャリアパスは資格取得や仕事を続ける上でのモチベーションに直結する重要な要素です。

児発管の給料・年収の目安から、雇用形態、仕事のやりがい、そして大変さ向いている人の特徴、さらには経験を活かしたキャリアパス将来性について具体的に解説します。

児発管は責任ある仕事ですが、それに見合う待遇や充実感、そして将来への展望が開ける専門職です。

児発管の給料・年収の目安は?経験や地域による違いを紹介

児発管の給料・年収は、多くの方が関心を持つ点です。

一般的に、児発管の給与水準は、同じ福祉分野の保育士や児童指導員よりも高い傾向にあります。

これは、専門性の高さや業務における責任の重さが評価されるためです。

厚生労働省の『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、児発管が含まれる可能性のある職種「福祉施設指導専門員」の平均年収は約403万円となっています。

ただし、これはあくまで全体の平均値です。

実際の求人情報を見ると、例えば求人ポータルサイトなどでは、正社員の児発管の年収として350万円から550万円程度の募集が多く見られます。

給料は、経験年数を重ねることで昇給する可能性が高いです。

また、勤務する事業所の所在地(都市部か地方か)や、運営母体(社会福祉法人、NPO法人、株式会社など)施設の規模によっても異なります。

さらに、処遇改善加算特定処遇改善加算を取得している事業所では、基本給に加えて手当が支給され、年収がさらに高くなることもあります。

資格手当を設けている事業所も存在します。

児発管になるとお給料は上がるのかな?

一般的には他の福祉職より高い傾向にあり、経験やスキルでさらにアップも目指せますよ

結論として、児発管の給料・年収は様々な要因によって変動しますが、専門職としての知識や経験が給与に反映されやすい職種であるといえます。

雇用形態 正社員やパートなど多様な働き方と求人情報

児発管は、ライフスタイルに合わせて多様な働き方を選べる点も魅力の一つです。

最も一般的なのは正社員としての勤務です。

安定した収入と充実した福利厚生(社会保険、賞与、退職金制度など)を期待できます。

責任ある立場でじっくりと腰を据えて働きたい方に向いています。

求人数も正社員が最も多い傾向です。

一方で、パート・アルバイトとして働く児発管も少なくありません。

家庭の事情やプライベートとの両立を図りたい方、扶養範囲内で働きたい方、ダブルワークを希望する方などに適しています。

勤務日数(例:週3日)や勤務時間(例:1日4時間~)は事業所によって様々です。

時給の相場は、地域や経験にもよりますが、おおむね1,200円から2,000円程度で見られます。

また、数は多くありませんが、派遣社員として働く選択肢もあります。

派遣会社に登録し、条件に合う事業所に派遣される形態です。

様々な事業所を経験してみたい方や、契約期間を決めて働きたい場合に選択肢となるでしょう。

児発管の求人情報は、以下のような方法で探すことができます。

  • 福祉・介護専門の求人サイト
  • 一般的な求人サイト
  • ハローワーク(公共職業安定所)
  • 事業所のホームページの採用情報

希望する雇用形態や勤務条件に合わせて、これらの媒体を活用して求人を探すことが可能です。

児発管の需要は高いため、比較的求人を見つけやすい状況にあります。

児発管の仕事における「やりがい」 は子どもの成長を支える喜びがあること

児発管の仕事は大変な側面もありますが、それを上回る大きなやりがいを感じられる場面がたくさんあります。

最も大きなやりがいは、子どもの成長を間近で支援し、その変化を実感できることです。

個別支援計画を作成し、それに基づいてスタッフと連携して支援を行った結果、昨日までできなかったことが「できた!」瞬間に立ち会える喜びは格別です。

「言葉の数が増えた」「お友達と関われるようになった」「癇癪が減った」など、具体的な成長が見られた時、大きな達成感を得られます。

また、保護者との信頼関係を築けることもやりがいの一つです。

子育ての悩みや不安に寄り添い、共に子どもの成長を喜び合える関係性を築けたとき、「〇〇さんに相談してよかった」「安心して預けられます」といった感謝の言葉をもらえることは、仕事への意欲につながります。

さらに、多職種連携の中心となれる点も魅力です。

保育士、児童指導員、作業療法士、言語聴覚士、医師、相談支援専門員など、様々な専門職と協力して、チームで子どもを支える体制を作り上げていく過程は、児発管ならではの経験です。

自分の専門性を活かし、チームをまとめ、より質の高い療育を提供できたとき、大きな充実感を感じるでしょう。

困難を抱える子どもたちが、自分らしく輝ける未来に向かって歩んでいく姿をサポートできることは、児発管にとって何物にも代えがたい喜びであり、この仕事の醍醐味です。

業務の多忙さや責任の重さ 「大変」と感じる側面

大きなやりがいがある一方で、児発管の仕事には大変さも伴います。

特に、業務範囲の広さによる多忙さと、支援に対する責任の重さは、多くの児発管が感じている側面です。

児発管の業務は多岐にわたります。

個別支援計画の作成や更新、計画に基づいた支援が適切に行われているかのモニタリング、保護者との定期的な面談や相談対応、学校や保育所、医療機関といった関係機関との連絡調整、サービス担当者会議などの開催・運営、現場スタッフへの助言や指導(OJT)、そしてそれらに関わる膨大な記録業務など、常に多くのタスクを抱えることになります。

特に書類作成業務に多くの時間が割かれ、「時間に追われる」と感じる場面は少なくありません。

また、子どもの支援計画に関する最終的な責任を負う立場であることも、プレッシャーとなることがあります。

一人ひとりの子どもの特性や状況を正確にアセスメントし、最適な支援計画を作成することが求められ、その計画が子どもの発達や将来に影響を与える可能性があるため、常に質の高い判断が要求されます。

保護者からの様々な期待や要望に応える必要もあり、精神的な負担を感じることもあります。

国立のぞみの園の調査研究報告書『サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の業務実態及び制度改定後の養成研修の実態に関する調査研究』によると、約半数(48.0%)の事業所が児発管の確保を困難と感じており、その理由として「実務経験要件を満たす者が不足」「サービス管理責任者等を任せられる人材が不足」などが挙げられています。

このような人材不足の状況は、児発管一人あたりの負担を増加させる要因にもなっています。

現場の支援業務と児発管業務を兼務しているケースも多く、業務量がさらに増える傾向にあります。

児発管って、やっぱり大変なことも多いんだろうな…

たしかに業務は多く責任も重いですが、チームで協力したり、研修でスキルアップしたりして乗り越えている方が多いですよ

人間関係の調整も大変さの一つです。

保護者、現場スタッフ、関係機関の職員など、多くの人と関わる中で、意見の食い違いや調整の難しさに直面し、ストレスを感じることもあります。

これらの大変さはありますが、多くの場合、チームで協力したり、研修に参加してスキルアップしたり、同僚と悩みを共有したりすることで乗り越えています。

児発管に向いている人の特徴・求められるスキルと資質とは

児童発達支援管理責任者として活躍するためには、いくつかの重要なスキルと資質が求められます。

以下に、児発管に向いている人の特徴を挙げます。

まず、子どもへの深い理解と愛情を持っていることが大前提です。

子どもの発達段階や障害特性を理解し、一人ひとりの個性や可能性を信じて、根気強く寄り添える姿勢が不可欠です。

次に、非常に重要なのが高いコミュニケーション能力です。

子ども本人にはもちろん、保護者、現場スタッフ、学校の先生、医師、相談支援専門員など、様々な立場の人と円滑な意思疎通を図る必要があります。

相手の話を丁寧に聴く傾聴力、専門的な内容を分かりやすく伝える説明力、相手の気持ちに寄り添う共感力などが求められます。

アセスメント能力と個別支援計画の作成能力も必須です。

子どもや家族、環境に関する情報を多角的に収集・分析し、課題を的確に把握した上で、具体的で実現可能な支援計画を立案する力が求められます。

関係機関や保護者、スタッフ間の意見を調整し、合意形成を図りながら支援を進める調整力・交渉力も重要です。

時には難しい調整が必要になる場面もあります。

予期せぬ出来事や困難な状況に直面した際に、冷静に状況を判断し、問題を解決に向けて主体的に行動できる力も必要です。

加えて、障害福祉の制度や支援方法は常に変化していくため、新しい知識やスキルを積極的に学び続ける意欲があることも大切です。

研修への参加や自己学習を継続できる人が向いています。

最後に、チームワークを大切にする姿勢も欠かせません。

児発管は支援チームの中心的存在ですが、一人で全てを抱え込むのではなく、他のスタッフと協力し、情報を共有しながら支援を進める協調性が求められます。

これらのスキルや資質は、最初から完璧に備わっている必要はありません。

実務経験や研修を通じて、少しずつ身につけていくことが可能です。

児発管経験を活かしたキャリアパスは?管理職や独立開業など

児童発達支援管理責任者としての経験は、その後のキャリアを豊かにするための大きな財産となります。

児発管経験を活かせるキャリアパスは多岐にわたります。

まず考えられるのは、勤務先の事業所内でのステップアップです。

経験を積むことで、複数の児発管をまとめる主任児発管リーダー職、さらには事業所全体の運営を担う管理者施設長といった役職を目指すことが可能です。

専門性をさらに深める道もあります。

特定の障害分野(例:自閉スペクトラム症、強度行動障害)に関する知識やスキルを追求したり、スーパーバイザーとして後進の児発管の指導・育成に関わったり、研修講師として活躍したりする道も開けます。

また、児発管の経験は、児童福祉分野の他の職種や領域でも活かすことができます。

例えば、障害のある方やその家族の相談に応じ、サービス等利用計画を作成する相談支援専門員への転職はその一つです。

他にも、行政機関(市区町村の障害福祉課など)で専門職として働く道や、特別支援学校などで教育に携わる道も考えられます。

さらに、独立開業という選択肢もあります。

児童発達支援管理責任者の配置は、児童発達支援事業所放課後等デイサービスの運営基準で必須とされているため、自身の資格と経験を直接活かして事業所を立ち上げ、運営することが可能です。

経営者として、自身の理想とする支援の形を追求できます。

このように、児発管としての実務経験は、組織内での昇進、専門性の追求、他分野への挑戦、そして独立開業と、多様なキャリアの可能性を広げてくれる貴重なステップとなります。

児発管の将来性は?専門職の価値は今後ますます高まる

児童発達支援管理責任者(児発管)は、非常に将来性の高い専門職であると言えます。

その理由は、社会的なニーズの高まりと、専門職としての重要性が増していることにあります。

第一に、発達障害のある子どもへの支援ニーズが増加しています。

発達障害に関する社会的な認知が広がり、早期に診断を受け、適切な支援を求める家庭が増えています。

特に、就学前の児童発達支援の重要性はますます高まっており、個別支援計画を作成する児発管の役割は不可欠です。

第二に、インクルーシブな社会の実現に向けた動きが加速しています。

障害のある子もない子も、共に地域で学び、生活できる環境づくりが進められる中で、学校、保育所、医療機関、福祉サービス事業所など、様々な関係機関を繋ぎ、連携をコーディネートする児発管の役割は、今後さらに重要になります。

第三に、放課後等デイサービスの利用者数も増加傾向にあり、サービスの質の確保が課題となっています。

『放課後等デイサービスの実態把握及び質に関する調査研究 報告書』でも指摘されているように、質の高い療育を提供するためには、アセスメントに基づいた適切な個別支援計画を作成・管理する児発管の専門性が鍵となります。

第四に、国も児発管の専門性を重視しています。

厚生労働省は、障害児支援の質の向上を図るため、報酬改定などを通じて、個別支援計画の質の評価や専門職の配置を手厚く評価する方向性を示しています。

参考:一般社団法人 全国児童発達支援協議会 児童発達支援・放課後等デイサービスの指標の在り方に関する研究報告書

(参考:『児童発達支援・放課後等デイサービスの指標の在り方に関する研究報告書(要約)』)これは、児発管の専門的な価値が公的にも認められている証拠です。

最後に、多くの事業所で児発管が不足している現状があります。

これは、資格要件を満たす人材が限られていることや、業務の専門性・責任の重さなどが背景にありますが、裏を返せば、資格を持つ児発管に対する求人は多く、活躍の場が豊富にあることを意味します。

これらの点から、児童発達支援管理責任者は、社会的な要請が高く、その専門性がますます評価される、将来にわたって活躍が期待される価値ある専門職であるといえます。

よくある質問(FAQ)

児発管になるには未経験でも可能ですか?実務経験はどうすれば積めますか?

はい、直接的な障害児支援の経験がなくても、児発管になるための第一歩を踏み出すことはできます。ただし、児発管の資格要件を満たすためには、定められた施設での「実務経験」が必須です。

もし、保育士や社会福祉士などの資格をお持ちでない場合、原則として5年以上の実務経験が必要になります。この経験は、児童発達支援事業所や放課後等デイサービス、障害児入所施設などで直接支援や相談支援の業務を行うことで積むことが可能です。まずは求人を探し、該当する施設で経験をスタートさせることが、児発管になるための第一歩となります。

児発管になるための研修は大変だと聞きましたが、費用はどのくらいかかりますか?

児発管になるためには、基礎研修や実践研修など、段階的な研修の受講が必要です。研修では、個別支援計画の作成演習やグループワークなどがあり、集中的に知識やスキルを学ぶため、一時的に大変だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

研修費用は、実施主体である各都道府県や指定された研修機関によって異なります。数万円程度かかる場合が多いですが、自治体によっては一部助成があるケースもあります。詳細な費用やスケジュールについては、お住まいの都道府県の障害福祉担当部署や、研修実施機関のウェブサイトで確認することをおすすめします。

保育士から児発管への転職を考えています。メリットとデメリットを教えてください。

保育士から児童発達支援管理責任者(児発管)への転職には、いくつかのメリットとデメリットがあります。

メリットとしては、保育士としての経験(特に子どもとの関わりや発達に関する知識)を直接活かせる点、より専門的な立場で個別支援に関われるやりがい、そして一般的に保育士よりも給与水準が高い傾向にあることが挙げられます。キャリアアップとして有効な選択肢です。

一方、デメリットとしては、個別支援計画作成や関係機関との連携調整など、保育士とは異なる業務が多く、書類作成などの事務負担が増える可能性があります。また、支援に対する責任も重くなります。資格取得のための実務経験や研修受講も必要となります。

児発管の仕事内容で、特に「大変」だと感じるのはどんな点ですか?

児発管の仕事はやりがいが大きい反面、「大変」だと感じる側面もあります。多くの方が挙げるのは、業務範囲の広さと責任の重さです。個別支援計画の作成・更新、モニタリング、保護者対応、関係機関との連携調整、現場スタッフへの助言、そして多くの書類作成など、多岐にわたる業務をこなす必要があります。

特に、様々な立場の方との調整業務や、限られた時間の中で質の高い計画作成を行うことにプレッシャーを感じる方もいます。この「大変」さを乗り越えるには、一人で抱え込まず、事業所内のチームで協力し、情報共有を進めることが大切です。また、研修などを通じてスキルアップを図ることも助けになります。

児発管の資格取得後のキャリアパスには、どのような道がありますか?

児童発達支援管理責任者(児発管)の資格を取得し経験を積むと、多様なキャリアパスが開けます。

まず、勤務する事業所内で、リーダー的な役割を担う主任児発管や、事業所の運営全体を見る管理者・施設長へとステップアップする道があります。

また、自身の専門性をさらに深め、特定の障害領域のスペシャリストを目指したり、後進の指導・育成を行うスーパーバイザーや研修講師として活躍することも可能です。

さらに、相談支援事業所に転職して相談支援専門員として働く、行政の専門職になる、あるいは独立して児童発達支援事業所や放課後等デイサービスを開業するといった選択肢もあります。児発管としての経験は、児童福祉分野での幅広いキャリア形成につながります。

児発管とサービス管理責任者(サビ管)は兼務できますか?また、配置基準について教えてください。

はい、児童発達支援管理責任者(児発管)とサービス管理責任者(サビ管)の兼務は、一定の要件を満たせば可能です。例えば、多機能型事業所のように、児童発達支援や放課後等デイサービス(児発管が必要)と、生活介護や就労移行支援(サビ管が必要)を一体的に運営している場合などが該当します。ただし、それぞれの業務に支障がない範囲であることなどが条件となります。

配置基準については、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスでは、児発管を事業所ごとに1名以上配置することが義務付けられています。利用定員によっては複数名の配置が必要になる場合もあります。この配置基準は、質の高いサービス提供を確保するための重要なルールであり、満たせない場合は運営に支障が出ます。

まとめ

本記事では、児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事内容、役割、資格要件、研修プロセス、他職種との違い、待遇、キャリアパスなどを詳しく解説しました。

児発管は、障害のある子どもの個別支援計画を作成し、質の高い療育を提供する上で中心的な役割を担う専門職です。

この記事のポイント
  • 個別支援計画作成と管理が中心業務
  • 実務経験と段階的な研修修了が必要
  • 子どもの成長支援に大きなやりがいがある専門職

この記事が、児発管というキャリアを具体的に考える上での一助となれば幸いです。

次のステップとして、ご自身の経験が要件を満たすか確認し、都道府県の研修情報を調べてみることをおすすめします。

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